移動平均線はほとんどトレーダーが参考にしている、最も基本的なテクニカル指標です。
ある一定期間の終値を平均化したものを数値化して算出するラインで、日々の値動きが均一化され、穏やかな曲線を描きます。
これによって、相場の大まかなトレンドを予測することが簡易になります。
そんな移動平均線で最もポピュラーなのが単純移動平均線(SMA)と指数平滑移動平均線(EMA)のふたつです。
正確にはもうひとつ、加重移動平均線(WMA)もあります。
…が、あまりポピュラーではないですし、特徴もEMAと似ているので割愛します。
単純移動平均線(SMA)はシンプルに指定期間の終値を平均化しただけで算出されたものです。
対して指数平滑移動平均線(EMA)は直近の終値を重要視して計算されたものです。
単純移動平均線(SMA)には買いや売りのシグナル発生が遅いという欠点がありますが、この欠点を補うために編み出されたのがEMA。
たった1日で大きく暴騰や暴落した日があった場合、EMAの方が鋭く反応します。
この様にちょっと性格の違う移動平均線ですが、SMAの設定もEMAの設定も、どちらも同じ考え方で決めていいと思います。
今回は、初心者から上級者まで参考になる移動平均の設定の目安を紹介します。
SMAとEMAどちらを使えばいいか??
SMAとEMAという違う種類の移動平均線ですが、どちらを使う方がいいのでしょうか?
結論を申し上げると、特にこだわりがない限りEMAを使いましょう。
EMAの方がリアルな値動きを繁栄しやすく、変動の激しい相場で正確に投資判断が行えます。
こちらはある期間のドル円分足チャートです。
黄色がSMAで緑色がEMA。
ゆるやかに動くSMAに対して、EMAの方が実際の値動きに対して鋭く反応しているのがわかります。
動きの特徴もそうですが、なによりもEMAを使っているトレーダーのほうが圧倒的に多いというのがポイント。
為替相場を動かすのは中央銀行の政策金利でも、国の景気でも、通貨の需要でもありません。
市場に参加しているすべてのトレーダーの”多数決”で決まります。
だとしたら、みんなが使っているツールと同じものを利用するのが有利に決まってますね!
移動平均線の一般的な設定
世の中にはいろんなテクニカル指標があり、たくさんの設定を必要とするツールもあります。
ですが移動平均線の設定方法はシンプル!!
平均を求める日数を指定する数字を入力するだけです。
使用しているツールにもよると思いますが、通常は短期・中期・長期の3つのラインを設定できます。
長期の移動平均線を短期の移動平均線が下から上に突き上げると「ゴールデンクロス」という形になり、”買いのサイン”とされます。
移動平均線は短期、中期、長期のラインの相互の動きによって未来の値動きを予測するテクニカル指標です。
移動平均線で設定する数値は参考にしているチャートの時間軸によって意味合いが違ってきます。
たとえば、1日足のチャートを見ているときに短期の移動平均線を5に設定した場合は「直近5日間の日足ローソク足終値の平均」(つまり一週間)になります。
もし5分足チャートを見ていた場合に、短期の移動平均線を5に設定した場合は「直近25分の5分ローソク足終値の平均」になります。
この様に移動平均線は、「チャートの時間軸」と「設定した数値」によって意味合いが変わってきます。
その為、移動平均線で使用する設定は、そのトレーダーのスタイルによって様々な形式をとります。
長期運用を目的とするなら、5分足の移動平均線を見ても全く無意味。
月足や週足の移動平均線を参考に投資するべきでしょう。
逆にデイトレーダーが週足や月足といった長いスパンの移動平均線を参考にする必要はありません。
自分だけの設定を発見する足掛かりとするためにも、それぞれのスパンでの一般的な設定方法を紹介します。
移動平均線の”週足”での設定
週足の移動平均線で一般的に使われるのは6、13、26といった数値です。
1年間は52週なので、半年である26週や、3か月である13週、更にその半分の1.5か月でである6週を目安にすることが多いためです。
数値を長くとればとるほど、長期のトレンドを表す指標に変化していきます。
もちろん、これが正解という数値ではありません。
最初は一般的な6,13,26という数値を使いつつも、自分の使いやすいように微調整してみるのもいいでしょう。
移動平均線の”日足”での設定
日足の移動平均は最も使われる人気の高い移動平均線です。
バランスが良いので、長期のトレーダーも短期のトレーダーも参考にしている方が多いと思います。
相場の値動きをたった8つのパターンに分類した、超有名な相場予測の方法に「グランビルの法則」というものがあります。
このグランビルの法則を参考にしているトレーダーも多いでしょう。
というか、グランビルの法則を知らなくても、自分のトレードの方法がグランビルの法則そのままということだって大いにあり得ます。
そんなグランビルの法則はあらゆる期間のあらゆるチャートで使うことが出来ますが、元々は200日移動平均線を元に作られた法則です。
ですので、日足の移動平均線では最も期間の長いラインを200日に設定することが多いです。
また日足の短期は5日が基本。
5日の移動平均は、そのまま1週間の値動きを反映します。
5日や200日以外にも長年の経験則から、21日、25日、89日などが使われる事が多いですが、特に決まりはありません。
自分の経験でもって決めるのが一番ですが、最初は短期を5日(一週間)、長期を25日(約一カ月)に設定し、いろいろと試してみるのもいいかもしれません。(短期トレーダーは200日だと期間が長すぎて、ちょっと使いづらいかもしれません)
*グランビルの法則についてはこちらの記事で詳しく紹介しています→グランビルの法則とは?FXで移動平均線を使って相場の先を読む8つのパターン
移動平均線の1時間足・4時間足での設定
1時間足や4時間足は、主にデイトレードやスイングトレードで使われます。
この1時間・4時間足の移動平均線も、特にこれじゃなければダメ!というような数値設定はありません。
1時間足であれば、短期を4で長期を24にすれば、短期は1日の6分の1である4時間を反映したものに、長期は24時間である1日の動きを反映したものになります。
4時間足についても、スイングトレーダーであれば、長めに設定した方が効果が発揮されます。デイトレーダーであれば、相場の大きな流れを掴む程度に参考にして、売り買いのタイミングは5分足を参考にする、なんて使い方も出来ます。
1時間や4時間足の移動平均線でも短期=5、長期=25という基本的な設定を使うだけで、けっこう正確な売り買いのサインをだしてくれるでしょう。
移動平均線の5分足・1分足での設定
スキャルピングなど、超短期で売買を繰り返すスタイルで使われるのが、5分足や1分足です。
短時間の移動平均線なので、その分ダマシも多く発生する傾向があります。
数秒や数分で取引が終了するスキャルピングでは、移動平均線の読みよりも瞬発力が大事とも言われています。
移動平均線のシグナルを待っていると、エントリーのタイミングを逃してしまう可能性があるからです。
ですが、それでもなお移動平均線は有効に機能します。
移動平均線と実勢レートがどれくらい乖離しているのかや、ゴールデンクロスにデットクロスも有効です。
1日に何度も取引を繰り返すスキャルピングは移動平均線を使ったトレンドの読みと、1秒後の値動きを予測して売買する瞬発力のふたつが必要になってくるでしょう。
移動平均線である程度のトレンドを把握し、それを判断の軸として、移動平均線との乖離や反発を狙うのです。
1分足であれば短期は5(5分)で、長期は30(30分)や60(1時間)といった設定が考えられます。
5分足も短期は基本5(25分)でいいですが、6にして30分の平均を使ってもいいかもしれません。
長期は36にすると3時間の平均、72にすれば6時間の値動きが反映された移動平均線になります。
特に短期は自分の使いやすい設定に個性が現れるところです。
自分だけの設定を見つけることが勝利への近道でしょう。
移動平均線設定のまとめ
移動平均線はSMAを使わずにEMAを使います。
その設定の数値は長期・中期・短期・超短期といった投資スタイルで変わってきます。
長い期間を設定すれば大きなトレンドを捉えられますが、その分シグナルの発生が遅くなり、チャンスを逃してしまう可能性があります。
短い期間を設定すれば小さな値動きも捉えられ、シグナルの発生も早いです。
チャンスを確実に掴むことが出来ますが、その分ダマシが発生する可能性も上がってしまいます。
移動平均線の設定は、そのままそのトレーダーの個性といっていいかもしれません。
自分に合った移動平均線の期間が見つかれば、自分独自のブレない投資スタイルを発見する近道になるのではないでしょうか。