米雇用統計の発表を始めとした、各国の統計の発表。経済政策の発表や、金利の発表は為替相場に大きな影響を与えます。
発表の結果によって、ものの数秒で10pips以上動いたりすることもあり得ます。
重要指標の発表がどの様になるのかは、予測は出来ても事前にわかるわけではありません。
発表直後はいろんな思惑が飛び交い、激しく上下するハイリスク・ハイリターンの状況になってしまいます。
そんな一筋縄ではいかない重要指標の発表直前・直後の値動きの特徴とはどんなものなのでしょう?
マーケットは事実ではなく”思惑”で動いている
まずは最も大切なことをお伝えします。
それは、マーケットを動かしているのは「発表された事実」ではなく「市場参加者の思惑(予測)」ということです。
この違いがわからないと、”よい発表の後に急落”や”最悪な発表直後の暴騰”を理解することができません。
市場参加者は重要な発表を前に、その発表の内容を”予測”します。
複数の大手の投資会社なんかは、その”予測”をまとめて発表したりしています。
もしトレーダーたちが「よい発表があるはず」と思っていたのに、実際は「悪い発表」だったら、その直後に急落します。
これはわかりますね。
では次にトレーダーたちが「よい発表があるはず」と思っていたのに、実際は「よい発表」だったとしても、その直後に急落することがあります。
これは「内容は良かったけど思ったほど良くなかった」ことが原因。
たとえばこんな発表です。
ISM非製造業景気指数(12月)00:00
結果 55.5
予想 56.5 前回 54.9
(ISM非製造業業景気指数は米国の景気先行指標のひとつで、50以上が景気の拡大、50以下が景気の後退を指し示すといわれている)
この発表は前回の54.9から55.5と上昇しており、景気の見通し的にはグッド・ニュースです。
ですが投資家たちは56.5と予測していました。
つまり期待を裏切る発表となってしまったわけですね。
当然、投資家たちにとってはバッド・ニュースとなるわけで、為替は売られる方向に動きます。
それがわかってくると、相場になれていないトレーダーたちはこう考えます。
「じゃあ、予測より良い内容だったら買う、予測より悪い結果だったら売る。発表の数秒後にすぐにトレードすれば、発表内容を利用して利益を得られるのでは!?」
…ことがそう簡単に済めば、だれもマーケットで損はしないでしょう。
マーケットはそんな安易な考えを持ったトレーダーたちを獲物にして、予測のつかない動きをします。
次は、重要指標発表前後の動きの特徴をもう少し掘り下げてみます。
重要指標の発表直前の動きの特徴
アメリカの雇用統計が発表される1分前に、急激に米ドルが下落することがあります。
「雇用統計の結果が悪かったのかな?」
そう思いショートポジションを取ると、その直後に雇用統計が発表され、一瞬で暴騰!!
ものの数分で大損する…そんな経験をしたことがあります。
なぜ発表した後ではなく、その直前に米ドルは急降下したのでしょうか?
そもそも重要な指標が発表される前は、トレーダーもその結果によって市場が大きく動くことが分かっているので、調整の動きが活発化します。
重要な発表があり、その結果次第で暴騰や暴落の可能性があるのなら、なるべくギャンブルはしたくないですよね。とくにプロフェッショナルなトレーダーであれば。
そんなわけで発表の数日前くらいから、為替が買われ過ぎの状態であれば売り圧力が強くなり、売られ過ぎなら買い圧力が強くなるといわれています。
ですので、通常であれば重要指標の発表直前は売り買いが鈍くなり、ボラティリティ(値動きの幅)も低くなります。
先ほどの例のように、発表の””直前”に大きく上昇、あるいは下降するのは、ヘッジファンド等の大手による”仕掛け”の可能性もあります。
実際のところはわかりませんが…(^^;
そういったイレギュラーな動きがあることを踏まえて、惑わされないようにしましょう。
重要指標の発表直後の動きの特徴
重要指標の発表直後は値動きが激しく、ボラティリティ(値動きの幅)が大きい状態になります。
驚くような内容ではなく予想通りであればそれほど動きませんが…。
一獲千金を狙ってスキャルピング(超短期売買)をして、一瞬で大きな利益を上がることもあれば、逆に大きな損失を出してしまう事もあります。
良い発表だからといって上がると思ったら下がるし、悪いからといって下がると思っていたら上がる場合もある。
とても難しいですよね。
ここでスキャルピングをするのは”投資判断”をするというよりも、瞬時の判断力と瞬発力で売り買いをするといった”スポーツ的側面”の方が強いでしょう。
発表内容の良し悪しや、ファンダメンタル分析、テクニカル分析も、まったく通用しませんね。
この発表直後にも、ヘッジファンドなどの大手が仕掛けてくる場合があります。
発表直後の為替が少しでも上昇すれば、市場はその発表を好材料と受け取ったとみんなが判断し、相場は上昇を続けます。
発表直後に下がった時も同じです。
その特徴を利用し、資金が豊富なヘッジファンドが発表直後に強引にひとつの方向に動かすように仕掛ける場合があります。
そうすれば、他の投資家がつられてその方向に大きく流れるというわけですね。ヘッジファンドは大きく利益を上げることが出来ます。
しかし、こういった仕掛け的な動きは、すぐに戻されてしまう場合が多いです。
こういった要因もある為、発表直後の為替は大きく上下するのかもしれません。
相場というのは長い目で見れば、発表結果を織り込んで向かうべき方向に向かいます。
発表直後はその結果と逆方向に動くことが多くても、最終的には発表の結果通りに動くものなんですね。
特に微妙な結果ではなく、市場予測とかい離したサプライズ的な発表であればなおさら。
ですので、発表直後は無理にスキャルピングをするのではなく、ある程度落ち着いて相場の流れが出てから投資した方がオススメと言えるでしょう。
発表直後の大きな変動の後、少しだけもみ合う展開になる場合があります。その直後に動いた方向が、その後のトレンドになる可能性が高いです。
もちろん、それもダマシの場合がありますが…。
もみ合いの展開が長ければ長いほど、その後に現れたトレンドが長く続く可能性が高くなると言われています。
長期間続いたもみ合いの展開が崩れた瞬間がスキャルピングのベストタイミングといえるかもしれません。参考にしてみてください。
大きく動いたとしても流れは収束していく
長年、FXトレードを続けていくと、重要指標の発表による暴落や暴騰になんども出くわします。
一瞬で大きく上昇したとしても、結局は急落!
最終的には発表前よりも遥かに下落する、なんてこともよくあります。
結局のところ、あらゆる発表の情報も大きな流れの中では誤差でしかないと感じます。
上昇トレンドの最中に材料がでて急落しても、結局は上昇トレンドの流れに戻ってしまう。
下降トレンドの最中に材料がでて暴騰しても、結局は下降トレンドの流れに戻ってしまう。
先ほども少し言いましたが、よほど大きな影響力を持つ発表がない限り、トレンドを覆す力はないと思います。
長いトレンドを掴むためには、1分足や5分足を見ていてはだめで、1時間足、4時間足、日足といった長いスパンのチャートを確認する必要があります。
一瞬の大きな値動きに惑わされて損切したりすると、その直後に反対に動いて利益のチャンスを逃す、そんなこともよくあります。
重要指標発表に際しては、短期の動きに惑わされず、大きな流れをつかむのが大切ですね。
重要指標の発表前後の取引まとめ
重要指標の発表直前は、為替の出来高が低くなり、値動きも鈍くなります。
発表直後は上下に大きく動き、重要な指標であればものの数分で100pips以上動くこともザラです。
発表後には慌ててスキャルピングせず、しばらくたってちゃんとトレンドが形成されてからポジションを取る方が確実と言えるでしょう。
もしスキャルピングをするなら、テクニカル分析に頼るとだましに合う可能性が高いので、純粋な勘と感覚と経験と瞬発力を頼りに売り買いした方が上手くいくかもしれません。
ですがそれはもうギャンブルです。FXで確実に資産を増やしたいのなら、焦らずにじっくりと相場を見極めてから投資しましょう!!