世界の投資家が、今後の市場を楽観視しているのか?それとも悲観しているのか?それを表す「VIX指数」というものがあります。VIX指数で検索すれば、すぐにチャートを見ることが出来ます。
VIXはVolatility Indexの略で、別名「恐怖指数」とも呼ばれています。
このVIX指数が為替にどの様な影響を与えるのでしょうか?
投資家心理と為替の関係
VIX指数はアメリカのS&P500を対象とするオプション取引を元に算出された数値です。オプション取引は”買う権利”や”売る権利”を売買する取引で、投資家が今後の市場をどのように予想しているかが如実に現れます。
このVIX指数が高いということは”市場のボラティリティが高い状態になると投資家が予測している”という事。
ボラティリティが高いということは、市場全体の値動きが激しくなるということであり、相場の見通しが不透明であるという事でもあります。
それゆえ、VIX指数が高いと投資家が市場の見通しに危機感を持っているという事を表します。
逆にVIX数値が低いと、ボラティリティが低い状態。値動きの激しくない、大人しい相場です。
投資家が市場の見通しをある程度予測出来ていて、相場を楽観視しているという事を表します。
VIX指数は世界情勢に敏感に反応します。
例えばリーマンショックで世界中が経済危機に襲われた時に、VIX指数は急上昇しました。
ギリシアの債権問題の時も、中国の経済危機の時も、VIX指数は上昇しています。
では、VIX指数と為替にはどのような関係があるのでしょうか?
VIX指数と為替の関係
通貨には経済危機に比較的強い「避難通貨」と呼ばれるものがあります。
その代表が日本の円です。
世界経済が危機的な状況に陥りそうになった場合に、リスクヘッジの為に円を買う動きが活発化します。
つまり、VIX指数が高くなった場合、投資家心理が悪化し、安全通貨の円買いが進む圧力になると考えられます。
以前は避難通貨としてスイスフランも有名でしたが、スイスフランショックを経た今、その避難通貨としての存在感は薄れているといっていいでしょう。市場の大きなドルやユーロも避難通貨として考えられますが、ケースバイケースです。
いま世界で最も避難通貨として有力なのは「円」でしょう。今後、リーマンショックレベルの経済危機が発生した場合、円高が進むかもしれませんね。
逆にVIX指数が低くなった時に、最も影響を受けやすいのが新興国の通貨です。
ブラジルレアル・インドルピー・インドネシアルピアなどですね。こういった通貨は、世界経済の見通しが暗くなった場合に真っ先に売られます。
これらの通貨が売られ、その代わりに円や米ドルが買われるという図式ですね。
VIX指数が安定していれば、これらの進行国通貨も上昇しやすい状況という事になります。
まとめ
リーマンショックやギリシア問題レベルの大事件が起こると、VIX指数が急上昇。投資家心理が悪化し、リスク回避として円買いが加速する可能性があります。また、そういった事態で最も最初に売られるのが、規模の小さな新興国通貨という事になります。
日本に住む我々から見ると、超高齢化社会が目の前に迫り、莫大な借金を抱えている日本円が避難通貨として機能しているのが不思議な気がします。ですが、世界的に見れば日本円の安全性や信頼は、米ドル以上といえるでしょう。日本よりも経済状況のヤバい国がいっぱいあるという事の裏返しかもしれません。
このまま景気が悪化して高齢化が進めば、日本円が避難通貨として機能しなくなる日が来るかもしれません。そんな日は来て欲しくないものですが、もしそうなったらFXの手法も今とはまったく違ったものになっているでしょうね。