FXは2通貨間の取引になりますが、その通貨ペアには「ドルストレート」と「クロス通貨」の2種類があります。
クロス通貨とは何か?
そしてクロス通貨で取引する際の注意点を紹介します。
クロス通貨の特徴と注意点
まずはドル・ストレートについて。
世界で最も取引量が多い3大通貨は「米ドル」「ユーロ」「円」ですが、なんだかんだいっても主軸通貨は”米ドル”です。
この米ドルを含めた通貨ペアのことを、ドルストレートと呼びます。
- ドル/円
- ユーロ/ドル
- ポンド/ドル
- 豪ドル/米ドル
これらすべてがドルストレートの通貨ペアになります。
対してクロス通貨は、2つのドルストレートが合成されて構成されています。
例えばユーロ/円の通貨ペアは、ユーロと円がダイレクトに取引されているのではなく、「ユーロ/ドル」と「ドル/円」の動きが”組み合わされて”算出されています。
もしユーロで不安材料が突然発表されて、為替市場でユーロが大きく売られたとしましょう。ユーロと円が直接取引されていたのなら、当然のことながらユーロ売り・円買いの動きになります。
ですがユーロ/円はクロス通貨なので、そこに米ドルというある意味での”緩衝材”が入ってきます。ドル/円の動きもかかわってくるのです。
もし円とドルの動きが少なくて均衡を保っているなら、ユーロの影響はダイレクトに円の動きに反映されます。
ですが、ユーロの売りと同時に米ドルが日本円に対して「円高ドル安」の動きであった場合、ユーロと円の動きだけ見ると影響が相殺されてしまう可能性もあります。もちろん、その逆であれば値動きが加速してしまうこともあり得るでしょう。(なんだかわかりずらいですが…)
とにかく覚えておいてほしいのは、クロス通貨を取引する場合には、米ドルの動きによって為替の変動が”相殺”されたり”加速”したりするので振幅が大きくなりやすいってこと。
ボラティリティが大きくなりやすいといってもいいですね。
クロス通貨は殺人通貨!?
FXの世界ではポンド/円の通貨ペアは「悪魔の通貨」や「殺人通貨」と呼ばれています。
1日で大きく動くために、あっという間に大きな損失を出してしまう可能性があるからです。
株であれば損失を出した株を売却すればそれで終わりですが、レバレッジの効いたFXでは大きな損失を出す=大きな借金を抱えるということにもなりかねません。
「1日チャートを見るのを忘れていたら大きな借金を抱えていた」とか、「一晩眠って起きたら大きな借金を抱えていた」、なんてことが現実に起こるのがポンド/円なのです。
クロス通貨の値動きが大きくなってしまうもう一つの理由に、その通貨の取引量がそもそも少ないということも挙げられます。
株式もそうですが、FXも取引されている通貨の量が少なければ少ないほど、その値動きも大きくなります。
ポンドは取引量がかなりありますが、例えばオーストラリアドルやニュージーランドドル、その他の新興国通貨は主要通貨に比べてかなり取引量が少ないです。
そのため、世界の経済動向によって激しく乱高下する可能性があります。
①クロス通貨である
②取引総量が少ない
これらの理由から、クロス通貨はハイリスク・ハイリターンになります。
クロス通貨を取引する際の注意点
値動きの激しいクロス通貨ですが、取引量が多いユーロであれば、比較的穏やかな値動きになることが多いようです。
具体的に言うならば、「ドル/円」と「ユーロ/円」「ユーロ/ドル」という主要3通貨のペア以外は、為替の変動が激しいと考えていいでしょう。
ある意味では、そこに大儲けのチャンスが転がっているとも言えますが、クロス通貨はFXの素人は手を出さないほうが無難かもしれませんね。
クロス通貨を取引する際には、為替の変動が激しいということを念頭に置いて、投資する金額をコントロールすることが大事です。殺人通貨の餌食にならないよう、注意しましょう。
また、円とその通貨の関係以上に”ドルと円の関係”が重要になってきます。
クロス通貨ペアのチャートの隣に、ドル/円のチャートも表示させておくのもいいかもしれませんね。