FXのファンダメンタル分析

FOMCの利上げ見送りによる為替の影響と、利上げ判断に影響を与える指標の発表予定表

2016年9月23日FOMC(連邦公開市場委員会)で利上げの見送りが決定しました。

FRBのイエレン議長は「物価や雇用面をみても、経済の過熱を示すものはない」との見解を発表。この発表を受けて為替市場はドルが売られ、アメリカの株式市場は大きく上昇しました。

ドル/円も発表後から、円高ドル安の動きになっています。

今回は利上げをしない、という見解共に「年内に1回は利上げ想定している」という発表もありました。市場関係者の間では「12月に利上げするのではないか」とか「けっきょく2016年の間に利上げはしないのではないか」といった意見があるようです。

今後の利上げ見通しや、利上げ決定に重要な影響を及ぼすアメリカ経済指標の発表予定をお伝えします。

FOMCの中では意見が真っ二つ!?

いまFOMC(連邦公開市場委員会)の中では「利上げ推進派」と「利上げ慎重派」ですごい意見対立があるようです。

一番影響力が強い、FRBイエレン議長は慎重派。彼女の「年内に利上げを想定している」という発表も、激しい利上げ推進派を納得させるためのリップサービスであり、場合によっては年内利上げはない可能性も大いにあります。

 

イエレン議長はドルの利上げをしても大丈夫なくらい、アメリカの経済が堅調であるとは思っていないようです。

物価の上昇と雇用の改善、これが利上げの条件。

8月の失業率4.9%とかなり良い感じで低くなっています。だけど賃金の伸びを見ると、給料が増えたのは良い職に就いている人たちばかり。雇用者全体としてみると、それほど経済が良くなっているわけではないようです。

「アメリカ経済は過熱していない。利上げにはまだ早い」と二の足を踏むイエレン議長に対して「経済が過熱してからでは遅すぎるで!」という意見もあるようです。

FOMCにおける利上げ見通し

今回のFRBと地方連銀メンバーによる、今後のドルの利上げ見通しは「2016年中に1度の利上げ、2017年に2度の利上げ」を想定しているというもの。

6月の会合では2016年2回、2017年には3回の利上げを想定していたので、全体として利上げペースは落ちていく可能性が高いです。

つまり、アメリカの経済は利上げに耐えられるほど堅調ではない、ということ。

アメリカドル利上げのメリット・デメリット

では、超簡単に利上げの影響をまとめてみましょう

利上げのメリット

①いまのアメリカでは住宅バブルが加速気味。サブプライムローンのような惨劇を未然に防ぐためにも、利上げした方がよい!!

②利率が低いままだと、今後アメリカ経済が上昇した時に利下げの余地がなくなり、経済政策の幅が狭くなる(今まさにマイナス金利を導入した日本がこの状態になってますね…)

③円安ドル高の動きになり、輸出国の日本には良い影響。日本の株価は上昇する。

利上げのデメリット

①アメリカが利上げすると、市場引き締めになるので株式市場にとっては悪影響。アメリカの株価は下落する

②アメリカの利上げで投機マネーが新興国からドルに流れるため、新興国の市場には大打撃。その結果、世界全体の経済が停滞する可能性がある。

③円高ドル安の動きになり、輸出国の日本には悪影響。日本の株価が下落する。

 

今後のアメリカの利上げは、市場を見ながら慎重に進めていくとのこと。その参考となる経済指標の発表予定を確認してみましょう。

年内の重要な指標

2016年9月30日 8月個人消費支出

この個人消費がアップしていれば、年内のドル利上げ可能性もアップ!つまり、大幅に円安ドル高になる可能性あり。

2016年10月7日 9月雇用統計

雇用統計についても、雇用率が改善されていれば利上げ観測が高まり、円安ドル高に。イエレン議長は雇用を重視しているといわれているので、かなり重要なターニングポイントになる可能性あり。

2016年10月28日 7~9月GDP

GDPもアメリカ経済の今後を見るための重要な指標。アメリカGDPが上昇すればドルは買われ、下降すればドルは売られるでしょう。

 

これらの指標が良ければ、2016年12月にドル利上げの可能性が高まります。指標の結果が良ければ、年内はドル買いの動きが続くでしょう。

ですが、指標がイマイチなら円高ドル安が進み、1ドル=100円を大きく割り込む可能性も否定できません。

万が一年内の利上げを見送ったとしたら…2017年は急激な円高ドル安になる可能性もあるので注意が必要です。

 

テクニカル指標も大事ですが、これから年末にかけてファンダメンタル分析も市場に大きな影響を与えそうですね。

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