ヒストリカル・ボラティリティは他のテクニカル指標とは一風変わった特徴を持っています。
通常のテクニカル指標が為替相場の値動きを表しているのに対して、ヒストリカル・ボラティリティは相場のボラティリティを表しているからです。
ボラティリティとはなんなのか?そしてヒストリカル・ボラティリティをFX投資に生かすにはどうすればいいのでしょうか?
ヒストリカル・ボラティリティとは?
ヒストリカル・ボラティリティは、過去の相場の値動きから算出された”変動幅”のことです。
ボラティリティ=相場の変動幅と考えていいでしょう。
市場が乱高下して大きく動いている時は、ボラティリティが高い状態。まったく値動きしない凪のような状態は、ボラティリティが低い状態です。
金融危機が発生し投資家心理が悪化すると、ボラティリティが高い状態、つまりハイリスク・ハイリターンの状態になります。
そんなボラティリティをわかりやすく表現したものが「ヒストリカル・ボラティリティ」となります。
では、ヒストリカル・ボラティリティはFX投資にどの様に生かせばいいのでしょうか?
ヒストリカル・ボラティリティを使った投資手法
ヒストリカル・ボラティリティだけ使っても、売り買いのシグナルはわかりません。このテクニカル指標は、あくまでも相場の変動幅を視覚的に捉えるためのものだからです。
では、どのように投資に生かせばいいのでしょうか?
投資スタイルの目安になる
例えばヒストリカル・ボラティリティが高い状態であれば、市場の変動幅が大きい状態になっています。ハイリスク・ハイリターンのギャンブル性が高くなっている状態です。これはデイトレードに向いている環境、といえるでしょう。
ヒストリカル・ボラティリティが低い状態であれば、値動きも乏しいので、デイトレードには向かない環境です。スイングトレードか中期投資に向いている状態かもしれません。
また、デイトレードやスキャルピングでもあんまり上下に激しく動く相場は苦手という人にとって、自分が得意な相場なのかそうでないのかを捕らえる判断基準になるでしょう。
ボラティリティが低いと値動きが少ないので、ローリスク・ローリターン。ゆっくりとしたトレンドに沿ってエントリーすれば、安全に利益を確保出来る可能性があります。
トレンドの節目をとらえる
FX投資にとってトレンドの流れを捕らえるというのは、勝つためにとても大事なことです。そんなトレンドの特徴の一つに、ボラティリティの変化があります。
大きなトレンドの流れの中ではボラティリティが大きな状態になっています。
その後だんだんとボラティリティが小さくなり、ボックス相場に移行します。
ボラティリティが小さい状態がしばらく続いた後に、再度ボラティリティが大きくなり、再びトレンド相場が始まります。
市場の流れを大きく見るとボラティリティが「大→小→大」を繰り返すサイクルを形成しているパターンが多いのです。
一般的にボラティリティが小さい時は”市場が力を溜めている状態”と言われていて、そこで形成されたボックス相場が長ければ長いほど、その後に発生したトレンドが力強く長いものになるといわれています。
そういったトレンドの転換期を掴むのに、このヒストリカル・ボラティリティもひとつの判断材料になるでしょう。
ヒストリカル・ボラティリティの設定方法
ヒストリカル・ボラティリティの設定は、対象期間を決めるだけです。
日足であれば対象期間を20に設定することで、1か月の値動きを基準に算出したボラティリティを確認することが出来ます。
5分足であれば対象期間を12に設定すれば、5×12=60分の値動きを基準に算出したボラティリティを確認することがでいるでしょう。
対象期間は短すぎても長すぎても意味がありません。自分がどの程度の保有期間を想定してトレードをしているかを見極め、それに合わせた対象期間を設定することで最も効果を発揮するでしょう。
まとめ
ボラティリティはそれだけで利用できる指標ではありません。
今現在の相場の雰囲気を図るための指標なので、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することが前提となります。
その日のFX投資を始める前に、現在の相場がトレンド相場なのかボックス相場なのかを知るため、ヒストリカル・ボラティリティのチャートの変化をチェックしてみるのもいいかもしれませんね。