FX取引で負けた取引をふり返ると「なんであの状況でエントリーしたのだろう?」「なんであんな小さな利幅で利益確定してしまったんだろう?」というような、不可解な取引を行っていることはないでしょうか?
その理由は知能が低下しているからです。
これは自分の知能レベルの問題ではなく、人間というのは”ある状況下に置かれると知能が低下する”という特徴を持っているため。
FXトレードでは、常に適切な判断を下すため、頭をフル回転させています。人によっては、たくさんのチャートを同時に見て、瞬時に判断を下さなければいけないでしょう。
そんな時に知能が低下していたら?
判断に時間がかかるし、ミスも増えるでしょう。
今回はFX取引で致命傷になりかねない知能が低下する理由と、それを予防する方法について紹介します。
人間の知能が低下するとき
自分と他の誰かが、あるテーマについて熱い議論を交わしていたとします。
もし自分にとって不利な状況になって来たとしたら、相手の知能を低下させることで、その議論を優位に運ぶことが出来るかもしれません。
相手の知能を低下させる方法、それは”相手を怒らせること”です。
わざと挑発するような言葉を投げかけたり、議論とはまったく関係のない悪口を言ったりして相手を怒らせることが出来ればもうしめたもの。相手は知能が低下し、理論的にものを考えることが出来ずらい状態になってしまいます。
ちょっとズルいテクニックですが、ネット掲示板なんかでは無意識的によく使われてますよね。
議論で相手に怒ってしまい、反論を理論立てて組み立てられない…FX取引でもこれとまったく同じ状態になってしまう事があります。
エントリーしたとたんに、自分が思っている方向とは真逆にガツンと動いてしまう。そうするとどう思うでしょうか?
焦り、恐怖、怒り、悲しみ、戸惑い…そんな負の感情が渦巻いて、判断力が鈍ってしまいます。
これから反転するかも!といった希望も知性を低下させます。
つまり、感情が知性の邪魔をするんです。
負の感情も正の感情も、知性や判断力にとっては邪魔以外の何者でもありません。
「トレードで最も大切なのは感情のコントロールだ」という格言を聞いたことがあります。なぜ感情のコントロールが大切なのかというと、感情は知能を低下させるからなんですね。
では、どうすれば感情的にならずに取引できるのでしょうか?
感情に振り回されないための4つの対策
①保有ポジションを減らす
最も有効なのは保有ポジションを減らすという方法です。
極端な例ですが、1pips動いたら1万円動くのと、1pips動いて100円しか動かないのでは、受ける感情のレベルが全然違います。
自分の資産と保有するポジションのバランスが崩れていると、勝てるものも勝てません。FXで負けている人のほとんどが、自分のキャパシティを超えた金額を運用しているため、余計に感情的になってしまい負けてしまいます。豊富な知識や経験があったとしても、脳みそが働いてなければ正常な判断は下せないのです。
もし普通に取引していて、数pips下がっただけでも自分の感情が揺さぶられるとしたら、それはポジションを取り過ぎている可能性があります。すこしリスクを減らせば、取引の際に判断力が落ちる事もなく、自分の投資スタイルを固持できるでしょう。
②明確なルールを決める
取引に際して、感情の介入する隙間もないくらいに、ガッチガチにルールを決めるのもひとつの手です。
エントリーした瞬間に利益確定は+20pips、損切りは-20pipsなんて、完全に固定してしまう。そうすれば、感情に揺さぶられることもなくなるでしょう。
もちろんエントリーするタイミングでは、感情の影響を受けます。もしたまたま損失ばかりの取引が続いたとしたら、それだけでかなり知的レベルは低下していると思います。
それはもうしょうがないのですが、少なくとも利益確定と損切りについては、精神的ダメージを軽減することが出来るでしょう。
③すこし深呼吸する
相場が一瞬で大きく動いたときに焦ってエントリーしてしまう。エントリーした瞬間に、反対に動き出してしまい、その結果負ける。
そんなこと、ありませんか?
これは相場が急激に上昇(下降)したことで、利益のチャンスを取り逃がすまいと焦ってしまい、その結果知能が低下、正常な判断を下せなくなってしまったために起こったのです。
特に相場が急に動いたときは焦りますよね。自分が焦っているな、と思ったら深呼吸してください。
焦っている状態でエントリーすると、負ける可能性が高い。
そう思いながら深呼吸…数分だけでも時間を空けると、また相場が変化しますし、正常な判断を下せる状態に変わってくるかもしれません。
④チャートを見すぎている
チャートというのは見れば見るほど精神を削られます。為替が少し上下しただけでも、無意識のうちに嬉しさや悲しさなどの感情を感じてしまうためです。
こういった些細な感情の積み重ねが、知的レベルを下げてしまう原因になります。
チャートをじっと見つめていると、すぐに利益確定したくなったり、とにかく焦って売買したくなってしまいます。
あえてチャートを見ないというのも、自分の感情をコントロールする有効な手段です。
まとめ
「人間は感情的になればなるほど、知能は低下する」
他は忘れてもいいので、少なくともこれだけは覚えておいてください。
ギャンブルで大負けして頭に血がのぼり「次の勝負で取り返すッ!」なんて、掛け金を倍にして大勝負に出てしまう…。
こういった状況はよく見られますが、まさしく知能が低下しているが故の判断であることがわかると思います。
もちろん、掛け金を倍にして挑んだ大勝負は、かなりの確率で負けます。なぜなら、正しい判断が下せない状態で、ギャンブルに挑んでいるからです。
FXトレードも同じことが言えます。
悟りを開いているわけじゃないので、損失が出ていれば焦るし、利益が出ていれば嬉しくなります。人間なんだから、そんな感情があるのは当然です。だから無理に感じないようにするのではなく、その感情の強さをコントロールするのが大事。
自分が投資判断をする時、どれくらい感情が揺さぶられるのかを自問する癖をつけてみましょう。
先ほど紹介した4つの対策を行いながらも、自分の感情を客観的に見て「自分は焦っているなあ」「ああ、喜んでいるなあ」なんて客観視することが出来れば、知的レベルを落とさずにトレードできるかもしれませんね。