FXの基礎知識

量的金融緩和政策とは?わかりやすくFXや為替との関係を説明

日銀の黒田総裁が行った大規模な量的緩和を指して黒田バズーカと呼んでいました。

バズーカ!?でも、それくら量的金融緩和が市場に与えるインパクトは凄いということでしょう。

量的金融緩和政策とはなんなのでしょうか?

量的金融緩和とは為替にどの様な影響を与えるのでしょうか?

超わかりやすく説明したいと思います。

量的金融緩和とは?

中央銀行には”国の経済を安定させる”という重要な役割があります。好景気過ぎたらブレーキをかけ、不景気になれば景気刺激策を打ち出します。

そんな中央銀行の景気刺激策には大きくふたつの方法があります。

①政策金利のコントロール

②市場に流通する貨幣量のコントロール

(①の金利政策と為替の関係についてはこちらの記事で説明しています→政策金利とは?わかりやすくFXや為替との関係を説明

量的金融緩和は②の「市場に流通する貨幣量のコントロール」する、中央銀行の景気刺激策です。

「市場にお金が溢れる→銀行の企業への貸付金利が下がる→企業がお金を借りやすくなる→経済活動が活発化する」

こんな感じで量的金融緩和は景気を活性化させます。

量的金融緩和の方法は、単純に紙幣を刷ったりするものから、メガバンクの保有する国債の量をコントロールしたりするものまで何種類かあります。

 

一番大事なのは「量的金融緩和=お金が溢れる」ということ。

そうなるとどうなるか?

お金の価値が下がります。つまりインフレです。

では、インフレになるとどうなるか?その通貨の価値が下がります。

日銀の量的金融緩和によって市場に円が溢れ、その結果として円の価値は下がりました。ただ円で貯金しているだけで、損しているって感じですね。

円ドルの動きで捉えると、円安ドル高の動きになります。数年前まで1ドル=80円だったのが、現在は1ドル=120円に円安が進んだ一因には、黒田バズーカとも評された日銀の大規模な量的金融緩和があるでしょう。

なぜこれほどまで大規模な量的金融緩和を行ったのか?それは、これしか選択肢がなかったとも言えます。

ゼロ金利政策の後には量的金融緩和しか方法が残されていない

バブル崩壊後の日本はとんでもない不景気に見舞われました。この状況を打開するため、日銀はゼロ金利政策を開始しました。

ゼロ金利政策とは、景気を刺激するために限界まで金利を下げて、もう限りなくゼロにしちゃおうという作戦です。

このゼロ金利政策を行っても中々景気が良くならない日本、しかし景気を刺激する為に下げる金利はもうない。そこで登場したのが量的金融緩和です。日銀が円を刷って市場にお金を溢れさせ、それによって経済を活性化させようというもの。

量的金融緩和はやりすぎるとインフレを起こし、経済がますます混乱してしまうという、かじ取りの難しい政策です。日銀は緩やかなインフレ傾向を目指していますが、これからどうなるかはまだまだ未知数ですね。少なくとも牛丼は以前より値上がりしているみたいですが。

 

サブプライム問題以降のアメリカは、バブル後の日本と同様の道をたどっています。ゼロ金利政策、そして大規模な量的金融緩和であるQEを行いました。QEは時期を分けてQE1、QE2、QE3と3回行われました。そして現在、やっとその結果として経済が上向きになりそうなので政策金利を上げようか、なんて話が出てきたところです。

連続して大規模なQEを行いドルの価値は下がりましたが、政策金利が利上げすればドルの価値は再び上昇する可能性がありますね。

日本がゼロ金利政策を始めた当時は、当時欧米各国からその政策を非難されました。「ゼロ金利?ジャパン・クレイジー!そんなので好景気になるわけないじゃん!!」って。

ですが、今欧米各国は当時の日本と同様にゼロ金利政策→量的金融緩和といった、まったく同じ道をたどっています。当時の日本の金利政策を批判していた経済学者は、当時の自分が間違っていたことを認めたそうです。

量的金融緩和まとめ

量的金融緩和は中央銀行の行う景気刺激策のひとつで、流通する通貨が増えることを意味します。つまり、インフレ傾向になり、その通貨の価値が下落するということ。

量的金融緩和が発表された場合、その通貨の価値が下がります。

量的金融緩和の中止や規模の縮小が発表されたら、その通貨の価値は上がります。

例えば、日銀が量的金融緩和を行えば、ドルが上がるという事ですね。

 

量的金融緩和の意味を知ると、黒田総裁の発言がいちいち為替市場に影響を与える理由がわかるのではないでしょうか。

量的金融緩和はインフレになる危険性もあり、諸刃の剣的な金融政策です。日銀の量的金融緩和政策が成功なのか失敗なのかは、まだまだこれからの日本の行く末を見守る必要があるかもしれませんね。

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